<【鳥の目編】=総論>
どう考えても、損害保険代理店業の従事者は多すぎる。
少子高齢化・自動運転・ネット保険の台頭等でマーケットが縮小していく状況で、さらに主力商品である自動車保険が大幅に減収していくことを考えれば、募集従事者をそれに比例して減らすしかない。
損保業界は長年、研修生として自社で人材を受け入れ教育しながら、専業(プロ)代理店として育てることで販売網を広げてきた。この専業代理店は現在約4万2000店といわれているが、そのうち3割前後の店主の年齢が60歳以上の老齢代理店だ。
そして、この老齢代理店は、後継者不在の場合も多く、保険会社直営の代理店に合併させるか、廃業させるかの方向にもっていきたいのが、損害保険会社の本音だろう。
ところが、【損保会社社員の成績=担当代理店の成績】なので、損保会社社員が商品の細かな説明から契約書の書き方まで“事務代行”を続けてきた経緯があるのは否めない。
これが「甘えの構図」を生み、業務を自己完結できない老齢代理店を温存する結果となっている。
「なんとかしなければと」危機感を表明する老齢代理店いるが、『ではなにをすればいいのか?』という事に関しては、【周りを見ながら】と【自分が言えば損害保険会社は何とかなる】という根拠のない理由で、率先して行動に移す代理店は皆無に近い。
唯一実行していることは、代理店手数料率は規模が大きいほど、高いという傾向にあるので、同一地域内の仲良し代理店同士の合併を模索し、法人化することだろう。
ここで考えてほしいのが、それぞれ「想い」があって起業し、独立独歩の経営をしていた人たちが、吸収合併をして法人化したからと言って、うまくいくはずがない。
店主は名プレーヤーだったのだろうが、組織マネジメントの経験も少なく、他募集人に対する教育体制整備、人材募集方法、給与体系、コーポレートガバナンス等の能力も兼ね備えた名監督とは限らない。
マーケット縮小の状況下における【増収増益の仕組み・体制作り】構築し、会社としてのビジョンを明確にしなければ、魅力のない会社を設立するだけだ。
保険代理店としての生き残りの道は2つの方法しか選択肢は残されていないと思う。
1.他の代理店を吸収合併して50億以上の大規模代理店にする
2.損害保険会社直轄の代理店に社員として入る
損害保険会社の社員は、頭脳明晰な優等生なのだが、そもそも代理店に対して【保険商品の説明】を行っているだけで、自分で【ターゲット発掘~プレゼン~保険契約締結】までの流れを実際に行ったことはない。
ましてや企業経営の経験もないわけで、代理店独自の生き残り策として、【上記2.損害保険会社直轄の代理店に社員として入る】の選択肢しか提案できない。
この選択肢は保険会社サイドにとっては正解なのだろう。
逆に、募集人サイドから考えると、多様な働き方を尊重しようとしている【働き方改革】と逆行する【我慢としがらみの世界】に自らが足を踏み入れる選択肢だ。
保険代理店業界において、この1~2年で自分の方向性を明確に決めてアクションしなければ、淘汰されていくのは間違いない。
正直、時間はない。